年会費無料カードで海外旅行傷害保険の補償額を増やす
多くのカードに付帯している海外旅行傷害保険ですが、カードの公式サイトや雑誌などで、次のような相反する2つの説を目にします。
- カードさえあれば海外旅行も安心!
- カードの補償は不十分なので、旅行のときは保険に加入しましょう!
結論を言うと、ゴールドカードやプラチナカードではない一般のクレジットカード1枚では十分な補償が受けられませんが、年会費完全無料カードで余分なお金をかけることなく補完することができます。
海外旅行傷害保険の内容
なお、海外旅行傷害保険は「最高○○万円」と書かれていることが多いですが、これは死亡した場合や後遺障害を負った場合に補償される金額で、それ以外の病気やケガだと、支払われる保険金の上限がそれぞれに定められています。
具体的に保険金が支払われるのは、海外旅行中次のような事態が発生した場合です。
傷害死亡 | ケガで死亡した場合 |
---|---|
傷害後遺障害 | ケガによって後遺障害を負った場合 |
疾病死亡 | 病気で死亡した場合 |
傷害治療費用 | ケガの治療費用 |
疾病治療費用 | 病気の治療費用 |
賠償責任 | 誤って他人にケガをさせたり他人の物を壊して法律上の賠償責任を負った場合 |
携行品損害 | 所有・携行する身の回りの品が盗難に遭ったり壊れた場合 |
救援者費用 | 海外旅行先でケガや病気で入院し、家族が現地に駆けつけた場合 |
航空機寄託手荷物 遅延費用 |
手荷物の到着が遅れて身の回りの品を購入した場合 |
航空機遅延費用 | 航空機が遅れて宿泊代・食事代などを別途自己負担した場合 |
※補償内容の詳細はカードの発行会社や種類によって異なります。
もっとも重視すべきは治療費用
万一旅行先で死亡するようなことがあれば、日本で加入している生命保険なども適用されますし、このようなことがある可能性はまったくないとは言えませんが、極めて低いと言えます。
それよりも、旅行中の病気やケガでの病院代の補償の方が実際に保険でお世話になる可能性が高いですので、この金額に注目しなければなりません。
有料の海外旅行傷害保険はカード付帯の5倍の補償
具体的に海外で病院に行ったらどれぐらいの費用がかかるのか、有料の海外旅行傷害保険の補償内容を確認してみました。
これなら、これまでの実績から現実的に必要な費用をカバーできる保険を用意していると考えられます。
有料の海外旅行保険だと1,000万円の治療補償
H.I.S.のサイトで、ハワイ旅行6日間の海外旅行保険に加入した場合の保険料とその内容を比較してみました。
保険料が上がれは補償金額も大きくなりますが、どうやら治療費1,000万円というのが平均的な必要額のようです。
日本では病院代で1,000万円もかかる場面はまずないと思いますが、国によっては全額自費だったり、日本では大して高額にならない病気やケガでもビックリするぐらい高額になる場合もあります。
(単位:円)
保険会社 | 保険料 | 傷害死亡・ 傷害後遺障害 |
治療・ 救援 |
疾病 死亡 |
賠償 責任 |
携行品 | 航空機寄託 手荷物遅延 |
航空機 遅延 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
エイチ・エス損保 | 2,290 | 1,000万 | 1,000万 | 1,000万 | 1億 | 30万 | 10万 | 別途 オプション |
損保保険ジャパン 日本興亜 |
2,580 | 1,000万 | 1,000万 | 1,000万 | 1億 | 30万 | 10万 | 2万 |
三井住友海上 | 2,680 (リピーター 割引 2,560) |
1,000万 | 1,000万 | 1,000万 | 1億 | 30万 | 10万 | – |
エース損害保険 | 4,560 | 500万 | 1,000万 | 300万 | 5,000万 | 10万 | 5万 | 5万 |
AIU損害保険 株式会社 |
6,290 | 1,000万 | 無制限 | 500万 | 1億 | 30万 | 5万 | 5万 |
《H.I.S.海外旅行保険比較サイトによる》
代表的なカード付帯の保険だと200万円の治療補償
年会費が発生するいくつかのクレジットカードの付帯保険をまとめてみました。
こちらは行き先に関係なく対象期間を限度として補償されるのでお得感はありますが、傷害・疾病治療の補償金額を見てみると、100万円か200万円です。
(単位:対象期間以外は円)
カード名 | 発行会社 | 年会費 | 傷害 死亡・ 傷害 後遺 障害 |
傷害 治療 |
救援者 費用 |
疾病 治療 |
賠償 責任 |
携行 品 |
対象 期間 (日) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
リクルートカードプラス | リクルート ホールディングス |
2,160 | 3,000万 | 100万 | 100万 | 100万 | 2,000万 | 100万 | 60日 |
漢方スタイルクラブカード | ジャックス | 1,620 ※初年度 無料 |
2,000万 | 200万 | 200万 | 200万 | 2,000万 | 20万 | 90日 |
エクストリームカード | ジャックス | 3,240 ※初年度 無料 ※年間利用 30万円で 翌年度無料 |
2,000万 | 200万 | 200万 | 200万 | 2,000万 | 20万 | 90日 |
※クレジットカードは、航空機寄託手荷物遅延と航空機遅延の付帯なし
比較してみると、死亡保障こそクレジットカードの付帯保険が上回っているものの、治療や賠償責任などは保険会社の保険の方が明らかに手厚い補償になっています。
これだけ差があれば、カードに付帯している保険では不十分で、1枚のカードで海外旅行の補償を賄うのは難しいという結論になります。
ではカードの保険では役に立たないので、お金を払って傷害保険に加入するべきなのか?というと、打つ手はあります。
年会費無料の保険が手厚いカードで補償が受けられる
ゴールドカードなどだと、年会費が高額な代わりに保険が充実したカードもありますが、保険目的にこれらを持つのであれば、旅行に行くたびにお金を払って保険に加入する方が手っ取り早く、しかも安くつくという事態にもなりかねません。
年会費完全無料でありながらも海外旅行傷害保険が手厚いカードが何種類かあるので、これを複数持てば適用される補償額を増やすことができます。
年会費無料で障害治療・疾病治療が手厚いカードを何枚か持っておけば、有料の保険に加入するくらいの補償を付けることができる!
順番に詳しく説明しますね。
カードの保険には自動付帯と利用付帯がある
カードの種類によって補償内容が異なるほか、保険が適用される条件が大きく分けて2つあります。
- 自動付帯 … そのカードを持っているだけで適用される
- 利用付帯 … そのカードで旅行代金を支払ったときに適用される
自動付帯だとカードにいつでも適用される保険がセットになっているのと同じ意味なので、利用付帯よりもお得になります。
複数カードの自動付帯の保険は、補償額が合算される
海外旅行傷害保険が「自動付帯」というカードがあります。
旅行代金をそのカードで支払わなくても、カードを持っているだけで保険が適用されるというものですが、もしこのようなカードを複数持っている場合、補償内容によっては合算して保険を使うことができます。
死亡・後遺障害は、持っているカードの中で最高の補償額が適用される
持っている海外旅行傷害保険が自動付帯しているカードの中で、死亡・後遺障害保険の最高額を限度として支払われます。
つまり、複数のカードを持っていても合算はされません。
海外旅行傷害保険の死亡・後遺障害保険金額につきまして、他のクレジットカード付帯(個人カード)の保険契約から同時に保険金が支払われる場合には、これらの契約のうち最も高い保険金額を限度として按分して保険金が支払われます
『JCBのおすすめ保険のページ』より引用
例)リクルートカードプラスとエクストリームカードカードだと、最も高いリクルートカードプラスの3,000万円が上限で、5,000万円に合算はされない。
死亡・後遺障害以外の補償は、持っているカードの補償額が合算される
死亡・後遺障害は合算されないのに対して、それ以外の補償であれば、1度のケガや病気で複数のカードの保険を使うことができます。
ただし、同じカード会社から発行されているカード同士は合算されません。
海外旅行傷害保険(死亡・後遺障害保険金を除く)の各種保険金につきましては、他の旅行傷害保険から同時に保険金が支払われる場合、これらの契約の保険金額を合算した額の範囲内で実際の損害額を限度として按分して保険金が支払われます
『JCBのおすすめ保険のページ』より引用
例)リクルートカードプラスとエクストリームカードのケガをしたときの傷害治療費用だと、合算されて最大300万円
例)漢方スタイルクラブカードとエクストリームカードの傷害治療費用だと、同じ会社のカードなので合算されず最大200万円
このしくみだと、海外旅行傷害保険が自動付帯のカードを複数持てば死亡・後遺障害以外の保険の補償額を増やすことが可能になり、旅行会社が用意する保険の補償額に限りなく近づけることができます。
そこで、まったくコストのかからない年会費完全無料カードで海外旅行傷害保険が自動付帯のカードを探してみました。
年会費完全無料で海外旅行傷害保険が自動付帯のオススメカード
(単位:最短発行日数と対象期間以外は円)
※すべて航空機寄託手荷物遅延と航空機遅延の付帯なし
これらのカードはすべて、年会費など何の費用も発生することなく、家の引き出しにしまっておいても海外旅行傷害保険はいつも適用される自動付帯なので、かなりお得なカードです。
十分な補償額が確保できる
なお、この表のカードは傷害死亡・傷害後遺障害を除いては、持てば持つほど合算されて適用される保険が手厚くなので、海外旅行傷害保険の補償額を無料で引き上げたいのであれば、複数持つことをオススメします。
もし上の表のカードをすべて持った場合、もっとも使う可能性が高いと考えられる傷害治療で550万円、疾病治療で620万円と、保険会社が用意しているものと比べると補償額は劣りますが、1枚のカードとくらべると十分な補償額になっています。
エポスカードVisaが傷害・疾病治療の補償額最高
マルイのエポスカードVisaは死亡・後遺障害の補償額は500万円と少ないですが、これは他のカードと合算できないのでまったく問題にはなりません。
注目すべきは、疾病治療が270万円と最高額になっているところです。
海外旅行で保険を使うとすれば、病気かケガによる治療代である可能性がもっとも高いので、付帯保険で言うとこのカードがもっともオススメです。
そして、申し込みから最短30分以内にマルイ店舗のエポスサービスカウンターでカードを受け取ることもできるので、急いで海外旅行に間に合わせたいというときにでも、その日のうちにカードが手に入る可能性もあります。
横浜インビテーションカードも充実の補償額
年会費完全無料であるにも関わらず、保険内容は年会費有料カード並です。
ただ気をつけなければならないのは、これはジャックスという会社が発行しているカードなので、同じ会社が発行しているカードとは保険の補償額が合算されません。
もしこれらのカードをすでに持っている場合には、保険目的でこのカードに申し込んでもまったく意味がありません。
持っているカードの発行会社と重複しない会社のカードに申し込むようにしましょう。
イオンカードで唯一保険が自動付帯するイオンSuicaカード
以前は数多くあるほとんどのイオンカードに海外旅行傷害保険が付帯していましたが、今ではほぼ廃止されています。
ところが、このイオンSuicaカードだけは現在も保険が付帯しています。
補償されるのも傷害治療と疾病治療がそれぞれ50万円と、ハッキリ言ってショボイ内容ですが、年会費完全無料で少しでも海外旅行傷害保険の補償額を増やしたい場合には選択肢になり得ます。
まとめ
- 一般カード1枚だけでは、海外旅行傷害保険は不十分
- 死亡・後遺障害補償以外は、複数カードで合算して補償を受けることができる
- 年会費完全無料で海外旅行傷害保険が自動付帯されたカードを持てば、一切コストをかけずに保険が適用される。
エポスカードは年会費無料ながら、海外旅行保険はトップクラスの充実度!